VRのリアリティあふれる体験は、旅行分野との相性は抜群です。VR技術を利用すれば、お金と時間をかけずとも、あたかも海外に旅行しているかのような体験をすることができます。
すでにたくさんのVR旅行アプリがリリースされており、旅行会社もVRを活用したサービス提供を開始しています。ここでは、海外旅行を体験できるサービスや旅行アプリ、旅行会社の取り組み事例などをご紹介します。
池袋発の海外旅行体験「FIRST AIRLINES」
「池袋に国際空港オープン」。そんな謳い文句で注目を集めるのが、東京・池袋にあるVR航空体験施設「FIRST AIRLINES(ファースト・エアラインズ)」です。この施設は、地上にいながらにして旅客機のファーストクラスで海外旅行を楽しめるVR体験施設なのです。
施設のシステムはまさに航空会社そのもの。施設内部も旅客機内をほぼ完全再現しており、実際にファーストクラスで使われていたシートに座ってCAからサーブを受ける徹底ぶりは、VRを体験する前から空の旅の疑似体験を楽しめます。
体験の目玉となるVRでは、旅先ごとの国々の景色をまるで実際に訪れたかのように観光したり、現地との中継動画を見て異国の空気を体験できます。
完全予約制で、旅行先は2018年3月現在ハワイ、ニューヨーク、パリ、ローマの4便。料金はサービスドリンクと機内食込み110分の体験コースでファーストクラスが6600円、ビジネスクラスが6200円となっています。
旅行会社HISと組んでの世界一周旅行説明会も
旅行会社HISは「ヴァーチャルからリアルへ」をコンセプトとした世界一周旅行の説明会を、FIRST AIRLINESと共同で開催しています。
HISが毎月行っている世界旅行説明会・世界一周カレッジと、FIRST AIRLINESのヴァーチャル旅行を組み合わせた”お試し旅行”体験付き説明会は、これまでの説明会では理解が難しかった世界旅行の魅力をVRで体験できるまったく新しい説明会です。
VRで海外旅行を体験できるアプリ
体験型も魅力的ですが、もっと手軽にVR旅行を楽しむならスマホアプリがおすすめです。海外旅行を身近に楽しめる旅行アプリをいくつかご紹介します。
Ascape VR
アプリ内の世界地図から行きたい場所を選び、現地の様々な名所を収めた360度動画で仮想ツアーが楽しめるアプリです。ツアーをリストに登録することで、オンラインだけでなくオフラインでもVR旅行を楽しめます。
London VR
イギリスの首都・ロンドンの観光名所を、360度動画で体験できる旅行アプリです。ロンドン塔、タワーブリッジなど、ロンドンの各名所を仮想ツアーでのんびり楽しめます。ツアーだけでなく、各名所を単体で選んで観光できるモードもあります。
UAE VR
アラブ首相国連邦(UAE)の首都・アブダビにあるシェイク・ザーイド・モスクの美しい外観や、荘厳な内部を散策できるiOS専用アプリです。現地では肌を見せる服装は厳禁ですが、このアプリなら半そでやタイトな服など、自分好みの服装でモスクを拝観できます。
Google ストリートビュー
観光名所に限らず、地球上の様々な場所が360度見渡せるアプリです。静止画ですが、水中散歩や街中の散策など、散歩気分で世界中の景観を楽しめます。また、場所によっては建物の内部に入れるところもあり、見所満点のアプリです。
旅行会社や企業のVRへの取り組み
VR技術の進歩により仮想ツアーなどがより身近になったことを受けて、旅行会社や各種企業もVRへ積極的な取り組みを見せています。
HIS:ハワイ専門店でバーチャル体験を用意
旅行会社HISでは、上で触れたFIRST AIRLINESとの共同企画のほか、独自企画でもバーチャルコンテンツを展開しています。ハワイ旅行に特化した「HISハワイ」新宿三丁目店にて、VRコンテンツ制作会社HOME360の製作したVR動画によるバーチャルサーフィンや乗馬が体験できます。
ツアーの雰囲気を体験することによって実際に体験したい・行ってみたいという気持ちを高め、旅行への戸惑いや不安などを和らげる効果が期待されます。
近畿日本ツーリスト:海外ウェディングを360度ライブ配信
近畿日本ツーリストでは、VRシステムを使って海外挙式の様子を日本に360度ライブ配信する試みを行いました。
通信状態の不安定さやVRになじみのない参列者への説明などまだまだ課題は山積みですが、海外に行きづらい環境の人、式場入場に制約のかかる人でも参列できるようになることは素晴らしいメリットです。
これにより、海外の挙式を日本国内の式場で配信するなど、使用頻度が減少傾向にある国内の式場と増加傾向にある海外の式場双方を盛り上げようという狙いもあります。今後の進捗が待たれます。
遠隔海外旅行サービス「SYNC TRAVEL」
KDDIは自社の通信プロジェクト「SYNC PROJECT」において、VRゴーグルと360度カメラを最新鋭の技術で繋ぎ、リアルタイムでVR旅行をする遠隔旅行サービス「SYNC TRAVEL」に取り組んでいます。
「遠く離れた心をつなぐ」というプロジェクトスローガンのもと、もっと気軽に旅行を楽しみ、心と心が繋がる体験をすることで、実際の旅行に出掛けるきっかけとなることを目指した取り組みです。2016年の期間限定提供ではかなりの反響があったので、ぜひとも常設してほしいところです。
VRによって実際の旅行は不要になるか?
体験型VRや旅行アプリで手軽に旅行気分が味わえるようになりましたが、現実の旅行をVRだけで再現するにはまだ技術不足が否めません。VRでの旅行体験は雰囲気を楽しむ、もしくは実際の旅行の際の参考資料としての使い方がメインになり、従来どおり現地を訪れる旅行が不要になることは考えにくいです。
しかし、これは現時点での話です。VRは生まれたばかりの、これから進化していく技術なので、やがて技術が研ぎ澄まされ、現実と仮想の境目がなくなったときどうなるかは、そのときになってみないとわかりません。
まとめ
VR技術を使えば、自宅にいながらにして旅行に行った気分を味わえます。VR体験型の擬似旅行も魅力的ですし、旅行会社などVRを扱った取り組みを行う企業も増えてきました。VRアプリを使えばスマホで気軽に海外の景色が広がります。どんどん選択肢の増えるVR旅行を、ぜひお楽しみください。