VRを社員研修に活用するメリットと事例をご紹介

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VRはゲームや動画のイメージが強いかもしれませんが、ビジネスでの利用も進んでいます。まるで実在するかのような空間・状況を疑似体験することができるVRは、社員やアルバイトへの研修に活用する企業が増えてきているのです。

ここでは、企業が研修にVRを取り入れるメリットを説明し、実際に導入しているVR研修の事例を11社ご紹介します。

VRを研修に活用する5つのメリット

社員研修にVRが導入されている理由は、これまで行われてきた通常の社員研修と比べてたくさんのメリットが存在するからです。VRを社員研修に活用するメリットを5つご紹介します。

(1)指導者の人件費・労働力を削減できる

従来までの社員研修では、研修を受ける社員に対してベテランの社員がつくという形で行われるのが当然でした。そのため、指導を行う社員のスケジュール調整を綿密に行ったり、研修にかける労力によって現場のマンパワーが不足したりと、人件費や労働力が大きな負担となっていました。

VR研修では指導の際に必ずしもベテランの社員を必要としないため、研修を円滑に行うことができ、人件費を削減することができます。

(2)各人に必要なトレーニングを効率的に行える

通常の社員研修は、用意されている一通りの研修プログラムを全員が均一にこなしていきますが、VR研修では各人に必要な場面を繰り返し取り組むことができます。そのため、より効率的に技術習得トレーニングを行うことが可能になります。

(3)再現しづらい場面も疑似体験できる

これまでの社員研修の際には、実際の業務現場や環境、使われている器具などを用意するということはなかなかできず、仮の研修場所・器具を用いて行われることがほとんどであったでしょう。

VRを用いることで、危険を伴う環境や状況、またはお客様と取引を行う現場など、研修としては用意しづらかった環境を再現し、体験することが可能になります。

(4)研修のための資材・食材コストが削減できる

VRを用いた研修は、通常の研修と違ってVR空間の中で行うため、あらかじめ仮想空間に物をそろえておけば必要な資材や食材などを実際に用意する必要がなくなります。

建設や機械を扱うモノづくり、食品を扱う企業などにおいて、実際に物を用意するコストは無視できない負担でした。VRを通して体験できるのであれば、研修効果を落とさずそのコストを削減することができます。

(5)主体的な参加を促せる

一般的な社員研修は全員に均等な教育を行う必要があるので、社員は同じような内容の研修を受動的に受けるようになってしまいがちです。

VR研修では、360度の仮想空間の中心に自分がいる状況を体験しながら、主体的に学ぶことができるという効果が期待できます。VR研修によって、やらされる感覚よりも自ら楽しみながら学び、技術のトレーニングをすることができるようになります。

VRの研修活用事例11社

VR研修を行うことによって生じるメリットについてご紹介してきました。ここからは、実際にどのようなVR研修が行われているのか、11社の活用事例をご紹介したいと思います。

フライドチキンの揚げ方研修(ケンタッキーフライドチキン)

アメリカの大手ファストフード企業であるケンタッキーフライドチキン社では、VR空間の中でチキンの揚げ方を教育するためのVRコンテンツを開発しました。

実際にチキンを揚げる必要がないため、その分の食材を用意する必要ありません。一つのコンテンツで全てのトレーニングを行うことができ、研修全体のコスト削減につながっています。また、研修の時間自体も短縮し、徹底的な効率化を実現しています。

航空機の安全運航研修(ソフトバンク、スカイマーク)

非常脱出スライドを展開した際の機上からの見え方(引用:プレスリリース/ソフトバンク)

航空機を安全に運航する取り組みの一環として、ソフトバンクとスカイマークが協力して導入を検討しているVR研修です。VR映像を用いることによって、これまでよりも実際の現場に近い状況を体験することができ、安全運航に対してより強いイメージを持つことができるようになります。

この研修を行うことで、従来よりも技能の向上や知識の習得に効果が発揮されることが期待されています。

介護現場をVRで研修(ヒューマンライフケア)

VR研修コンテンツ「スピーチ・ロック」の一場面(引用:プレスリリース/ヒューマンホールディングス)

介護事業を行う企業でもVRを用いた教育研修が取り入れられています。従来のやり方ではOJTや座学を通しての受動的であった研修が、VRを取り入れた能動的な研修に変化することで、臨場感を持って経験を積むことができるようになりました。

ヒューマンライフケアでは、介護の現場で必要となる『スピーチロック』や『危険予知訓練』のコンテンツを行い、介護利用者への対応や現場での危険察知能力の訓練が行われています。

VRで「ひよこから食卓まで」を体験(塚田農場)

引用:ニュース&トピックス/エー・ピーカンパニー

塚田農場を展開するAPカンパニーが導入している、アルバイトを対象にしたVR研修プログラムです。以前まで、社員には宮崎にある養鶏場や処理加工センターでの研修が行われていましたが、アルバイトに対して行うのは難しい状況にありました。

このVR研修を導入することにより、全国どこからでも同じようにリアリティのある研修を行うことが可能となりました。「聖域編」「養鶏編」「処理加工編」の3つのプログラムが用意されており、それぞれの研修を通して「ひよこから食卓まで」を体験することができます。

警備業務のVR研修プログラム(セコム)

引用:報道資料/セコム

こちらは警備会社のセコムが実施しているVR研修です。通常の研修では費用や危険性によって再現できない環境をVRで再現し、トレーニングすることで社員への教育を行っています。

煙で満たされた空間での避難誘導、避難器具を実際に使用するシミュレーションなど、VRを活かしたトレーニングを行うことで、できるだけ本番を意識に近い状態を体験することができます。危険が伴うこともないため、より安全に効率よく学習を行うことができます。

遠く離れた現場をゲーム感覚で研修(アウディ)

引用:response/© IID, Inc.

アウディが導入しているVR研修では、ドイツの物流センターでのリアリティ溢れる映像を体感することでシミュレーションを行うことができます。使用するコントローラーはテレビゲームで使うものと同じなため、仮想空間の中でコンテナや小さな部品などをゲーム感覚で動かしながら楽しんで研修を体験することができます。

難易度が複数に分かれており、サポートをする社員はアプリを使って研修の進捗を確認することが可能です。VRを研修に取り入れることでモチベーションアップと効率化を図っている代表的な例と言えます。

安全体感VRトレーニング(積木製作)

積木製作が開発した、VRによる安全教育を行うことができるコンテンツです。主に建設現場などの危険を伴う現場で、安全に作業を行うことができるように教育を行うものです。高所作業の危険性を訴えるため、実際に高い仮設足場からの墜落などを体験できたり、急に車両が飛び出してくるシーンを体感したりすることができます。

改めて危険を体感することによって、体験者に作業中に気を付けなければならない安全面での教育を効果的・効率的に行うことができ、また手軽に訓練できるようになっています。

安全対策の体験型VR研修(JR東日本)

JR東日本では、ソフトバンクが開発したVRによる「安全教育ソリューション」を導入しています。鉄道の三大労災といわれる「触車」「墜落」「感電」 のうち「触車」と「墜落」に関する4つの事故を再現したコンテンツで、業務を行っている最中に発生する接触や転落事故などを再現して訓練することが可能です。

引用:VR導入事例資料/ソフトバンク

また、積木製作が開発した体験型のVR研修も導入し、仲間の作業員の行動に関する指摘について回答するというトレーニングも行っています。これまでの研修で再現できなかった危険性のある状況をVRで再現することができるというメリットを活かし、積極的に採用されているという事例です。

出典:積木製作

災害事故対策のVR研修(東急建設)

引用:プレスリリース/東急建設

こちらは東急建設がバンダイナムコスタジオの支援のもと開発した、VR体験型安全衛生教育システムです。

このシステムは、ゲームなどにも利用される感情や心理面での行動原理を用いており、そのストーリーを応用したVR研修です。人的なミスや気の緩みなど、実際に起こることが想定される状況を再現し、それに対処していくことで災害事故を防ぐための判断知識を習得していくことができます。VRであるため危険を伴わず安全に訓練を行うことができます。

VRボードゲーム研修(アニュビスの仮面)

中には「アニュビスの仮面」というVRボードゲームを研修に取り入れている例も存在します。アニュビスの仮面はギフトテンインダストリ社から発売されている協力型ゲームで、VRゴーグルを装着しているプレイヤーに対し、周りのプレイヤーが迷宮を言葉で説明しながらゴールまでのルートを探索するというゲームです。

VRの臨場感と、協力するという要素を研修に生かすことによって、コミュニケーション能力や社内の雰囲気を高めることができ、また役割ごとの重要性や目標を見極める能力を養うことができます。

貨物輸送ドライバーの安全運転研修(UPS)

世界規模で展開しているアメリカの貨物運送会社であるUPSでは、「HTC Vive」を使った安全運転研修を行っています。それまではタッチスクリーンの機械によって障害物訓練を行っていましたが、VRを取り入れることによってより実際の場面に近い状況を再現し、その中で訓練できるようになりました。

車のハンドル型のコントローラーとVRヘッドセットを使っているので、本当に車に乗っているような感覚でトレーニングすることができます。楽しんで行うことができるため、訓練へのモチベーションアップも期待できます。

人材採用活動にも活用されるVR

VRを使った研修事例についてご紹介してきましたが、同じ人事機能である人材採用活動でもVRが導入されています。

豊田ハイシステム株式会社とグリー株式会社が共同で制作した「VRオフィス見学」では、新卒の学生に対して、企業がVRを通して自社をプロモーションすることができます。VR動画は全国の大学生限定無料カフェ「知るカフェ」にVR機器と一緒に用意され、YouTubeやSNSだけでなく、企業のホームページなどでも公開できます。

また、楽天株式会社もVRを使ってオフィスをめぐる体験ができる「オフィスツアーVR」をYouTube上で公開しています。出勤時の入り口から開始し、オフィスの中を360度見まわしながらめぐることができ、実際に社内を歩いているような感覚を体験することができます。社内見学に行く機会がない人も、自分が働いているときのイメージを持つことができるようになるVRコンテンツです。

まとめ

VRを活用することによって、より効率よく安全に社員研修を行う手段が増えています。これまでは再現できなかった状況をVRで疑似体験できるため、これからもますますVRを用いた社員研修が多くなるでしょう。また、採用活動の場においても遠方から足を運んでもらう必要なく、会社の雰囲気を味わってもらえるようになりつつあります。様々な場面で利用が広まるVRを、ご自身の用途に合わせて体験されてみてください。

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