続々と新しいコンテンツがリリースされていくVRですが、VRアニメーションの開発も進んでいます。アニメーション映画監督や制作会社が作品を作っており、クラウドファンディングで資金集めを行なっているものもあります。

この記事では、注目のVRアニメ動画を10選ご紹介します。

Pearl

PearlはGoogleが制作したVRアニメーションです。VR作品としては初めてアカデミー賞にノミネートされました。オスカーを受賞したこともあるパトリック・オズボーン監督の作品です。

年を経るごとに変わっていく父と娘の関係性を描いた物語で、5分40秒ほどの短編映画作品となっています。登場人物の見た目や車の外の景色の変化で時間の流れがわかる作品になっており、視聴者は車の助手席から360度の視界を見渡すことができます。登場人物の行動や会話に注目するのも、景色の移り変わりに注目するのも視聴者の自由です。

現在YouTubeでも視聴可能ですが、HTC ViveやOculus Riftを持っている方はSteamでダウンロードして視聴することも可能です。

INVASION!

INVASION!はBaobab Studiosによって製作されたVRアニメです。第一作として公開された無料の動画は約4分のショートストーリーになっています。カンヌ国際映画マーケット「マルシェ・ド・フィルム」、トライベッカ映画祭でスペシャル・セレクションに選ばれました。

美しい冬景色の中で、地球征服に来たエイリアンとそれを撃退する可愛らしい白うさぎのコミカルなやりとりを360度映像で楽しむことができます。メインキャラクター達だけでなく、空を飛ぶ大鷲に白うさぎがさらわれそうになるシーンのスリルなども見どころの一つです。

現在はYouTubeで配信されているもののほか、HTC Vive、Oculus Rift、PSVR、Gear VR、Daydream Viewなどの主要なVRヘッドセットのほとんどのプラットフォームに対応しており、ダウンロードして視聴することができます。

ASTEROIDS!

ASTEROIDS!は先ほど紹介したINVASION!の続編VRアニメーションです。約7分間の作品で、今度は地球ではなく、エイリアンの乗る宇宙船が舞台です。途中で宇宙人が襲ってきたり、小惑星と衝突したりするアクシデントを宇宙船の乗員全員で乗り越えながら、宇宙の冒険をしていく友情を描いた物語です。

サンダンス映画祭にノミネートされ、Unity  Vision Awardを受賞。また、リュミエール賞ベストVRアニメーションを受賞しました。

現在、INVASION!と同様にYouTubeだけでなくGear VRやDaydream Viewなどで視聴可能です。

Project LUX

Project LUXはアニメ化もされた人気ライトノベル「狼と香辛料」の作者である支倉凍砂氏の主催する同人サークルである「Spicy Tails」によって製作されたマルチエンド型のVRアニメーションです。総尺は65分を超える中編アニメーション作品になっています。

近未来の世界で「ルクス」という少女を殺害した容疑をかけられている「エージェント」の記憶を追体験しながら真実を突き止めていく、というストーリーで、プレイ開始と同時にプレイヤーは「エージェント」の視点で記憶の追体験をしていくことになります。

出典:Project LUX/Steam

目の前の展開を鑑賞するタイプのアニメ作品でありながら、マルチエンディングに向かうためにゲームのように随所で選択肢が表示されます。

現在はYouTubeでPVが公開されており、本編はSteamやOculus Storeでダウンロード可能です。

「One Room」VR化プロジェクト

1人称視点で隣人の女子高生美少女とのふれあいを描いたアニメ「One Room」のVR版です。以前からそのシチュエーションを体験してみたいというファンからの要望が大きかったのですが、2017年12月からクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にてVR化プロジェクトのためのクラウドファンディングが行われ、2018年2月に約480万円の支援を集め、VRアプリの開発が行われています。

VRならではの臨場感あふれる体験が可能ということで非常に期待が高まっている作品です。

発売日は未定ですが、2018年初夏に販売開始の予定です。多くの人に体験してもらいたいということで、製作者側がiOS/Android用アプリとしました。そのため通常のスマホVRとして体験可能です。価格は960円(税込)で、購入しやすい価格帯になっていますので是非体験してみてください。

黒騎士と白の魔王VR 潜入!魔王城 編

「黒騎士と白の魔王VR 潜入!魔王城 編」は400万ダウンロードを突破した大人気スマホアプリ「黒騎士と白の魔王」の世界をCGで再現したVRアニメーション作品です。株式会社テクノブラッドはこのVR作品を2018年1月26日よりインターネットカフェに設置されたVRコンテンツプラットフォーム「VIRTUAL GATE」にて販売開始しました。

キャラクターの動き、表情はもちろん、背景や建物の細部に至るまで映像が作りこまれており、非常に高品質のVR体験が可能です。

「VIRTUAL GATE」ではオリジナルの高性能VRゴーグル「FOVE」を利用してVR体験ができるという特徴があり、機器のレンタルは一回100円です。「黒騎士と白の魔王VR 潜入!魔王城 編」は500円(税込)の有料コンテンツですが、このアニメーション以外にも無料で体験できるVRコンテンツも多数そろっていますので、近くの「VIRTUAL GATE」が設置されたインターネットカフェでVR体験をしてみてください。

Raising A Rukus

Raising A RukusはThe Virtual Companyが配信している家族向けVRアニメです。双子の子供が飼い犬のRukusと一緒に異世界へ迷い込んでしまい、そこで冒険をするというストーリーです。途中で、双子のどちらを長く見ていたいかを視聴者が決定することができ、その選択によって物語の視点が分岐するという特徴を持った少し変わったアニメーション作品です。

音声対応が英語のみなので、ところどころ会話内容がわからない方もいると思いますが、キャラクター達の豊かな表情の変化や行動でストーリー展開は十分に理解できると思います。

現在はYouTubeでPVが配信されており、本編はOculus Storeからダウンロード可能です。

Rain or Shine

Rain or Shine はGoogleのコンテンツ制作スタジオSpotlight Storiesチームが公開した家族向けVRアニメーション作品です。5分半ほどの短編アニメーションで、エラという少女と、エラの元に届いた、使うと雨を降らせるサングラスをめぐる物語です。最初は突然降りだす雨に困ってしまうエラでしたが、最後にはサングラスの有効な使い方を発見し、めでたしめでたし、という内容のアニメになっています。見ていて安心できる、まさに家族用VRアニメーションという作品に仕上がっています。

現在YouTubeでも配信されていますが、ヘッドマウントディスプレイを使ってしっかり体験したいという方はSteamでも配信されていますので、そちらでダウンロードしてください。

planetarian~ちいさなほしのゆめ~

「planetarian~ちいさなほしのゆめ~」はノベルゲーム原作で2016年には劇場アニメにもなっている株式会社ビジュアルアーツの作品です。VRアニメ化のために2017年11月に「CAMPFIRE」にてクラウドファンディングを開始し、募集開始後わずか40時間ほどで目標金額の1000万円に到達、最終的には2000万円の寄付金を集め、プロジェクトが始動しました。

「planetarian~ちいさなほしのゆめ~」は近未来の世界を舞台に、一人の男性と少女型ロボットの出会いを描いた作品です。今回のVR化では2016年に劇場公開された際のヒロインによる星空解説のワンシーンを主人公視点で体験できるVRアニメとなっています。

2018年3月24日より「VIRTUAL GATE」で販売開始されています。価格は800円(税込)で、繊細なヒロインの表情や動きの変化を楽しむことができるコンテンツになっています。

Allumette

Allumetteは、童話「マッチ売りの少女」をモチーフとした切ないVRアニメーションです。YouTubeで配信されているトレーラームービーから分かる通り、「娘と母ふたりの愛と犠牲、そして深い絆」をコンセプトとした20分ほどの短編作品です。

作品中にキャラクターのセリフや字幕はありませんが、VRコンテンツならではの自分視点での物語への没入が可能になっています。

本編はSteam、Oculus Store、PlayStation Storeでダウンロード可能となっており、HTC Vive、Oculus Rift、PSVRなどのハイエンドVRヘッドセットによる体験が可能です。

まとめ

VRアニメは、現在はまだ通常の360度動画のアニメ版というような状況で、VRコンテンツの中でも特に盛り上がっている分野ではありません。しかし今後、視覚や聴覚だけでなく、触覚や嗅覚を使用した体験ができるようなコンテンツになっていけば、一気にブームになる可能性を秘めています。VRという技術とアニメというコンテンツがどのように結びついていくのか非常に楽しみです。

投稿者 vradmin