2016年はVR元年と呼ばれています。この年にVR業界が大きく発展し、2017年以降のさらなる普及の足がかりとなりました。その2016年には、VRに関するどのような出来事があったのでしょうか?
この記事では、なぜ2016年がVR元年と呼ばれているのか、その理由となる出来事について説明します。
ハイエンドVRヘッドマウントディスプレイが続々と発売
2016年以前にもVRは存在していましたが、スマートフォンの進化に伴い小型で高精細のディスプレイ技術が進歩し、2016年は解像度の高い、複数のハイエンドVRヘッドマウントディスプレイが発売されました。
2016年3月「Oculus Rift」発売
VRブームの火付け役となったOculus Riftが発売されました。Oculus Riftは、2013年から開発者版が登場しており、そのポテンシャルの高さから市販版の登場が心待ちにされていました。
2016年3月に満を持して登場した市販版は、開発者版から大きく解像度・フレームレートが向上し、装着性などの面も大幅に改良され、大ヒットしました。発売から2年以上経った今も、PC接続型ヘッドマウントディスプレイとしてHTC Viveと共にVR業界を牽引する存在です。
【参考記事:Oculus RiftはVRブームの火付け役となったHMD】
2016年4月「HTC Vive」発売
Oculus Riftの市販から遅れること1ヶ月、スマートフォンで有名なHTCから、PC接続型ヘッドマウントディスプレイであるViveが発売されました。
HTC Viveは、他のハイエンドヘッドマウントディスプレイがカメラでの画像処理によるトラッキングを採用したのに対し、Lighthouseという独自のトラッキングシステムを採用しています。これにより、高速・高精度なルームスケールトラッキングを実現しています。
ヘッドマウントディスプレイ前面についた単眼カメラによる現実世界認識(シャペロンセーフティシステム)や、オプションのViveトラッカーによる物体のトラッキングなど、VRシステムとして非常に魅力的なものになっています。
【参考記事:HTC ViveはVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)の代表格】
2016年10月「PlayStation VR(PS VR)」発売
そして2016年10月にはPlay Station VR(PS VR)が発売され、即日完売となり大きな話題を呼びました。
PS VRは、高性能なPCを必要とするOculus RiftやHTC Viveと違い、PlayStation 4に接続して利用します。PlayStation CameraやPlayStation Moveモーションコントローラも購入する必要がありますが、家庭用ゲーム機で動作し、導入コストが低かったことが大ヒットした要因であると言えます。
PS VRの特徴として、映像を最大120fpsで表示できるため、頭を素早く振っても、違和感のない滑らかな映像を楽しめます。
【参考記事:今さら聞けない!PlayStation VR(PSVR)ってどんなもの?】
VRイベントや体験施設が続々と展開
ハイエンドVRヘッドマウントディスプレイの発売に合わせ、各地でVRイベントや体験施設が続々と展開されたことも、2016年がVR元年と呼ばれる理由の一つです。どのイベントも大盛況で、VRの普及に大きく貢献しました。
2016年3月「GAME ON」開催
GAME ONは、2002年にロンドンで開催されて以来、世界各地で開催されている、ゲームの歴史や文化・将来について考える企画展です。2016年3月2日〜5月30日の期間、東京・お台場の日本科学未来館にて日本初の開催となりました。
目玉企画として、発売前のPS VRが体験できました。2001年に発表されたRezをリメイクしVR対応させた共感覚シューティングRez Infiniteをはじめ、4つのVRソフトが体験でき、VRの認知に大きく貢献しました。
2016年4月「VR ZONE Project i Can」オープン
「さぁ、取り乱せ。」でお馴染みのバンダイナムコが展開するVR ZONEの、初めての店舗がVR ZONE Project i canです。2016年4月15日〜10月10日の期間、東京・お台場のダイバーシティ東京プラザにオープンしていました。
発売されたばかりのHTC Viveによるバンダイナムコオリジナルコンテンツの体験施設で、ハイエンドVRヘッドマウントディスプレイの魅力を余すところなく体験できました。コンテンツとしては、今や全国のVR ZONEで体験できる脱出病棟Ω・ガンダムVRダイバ強襲・高所恐怖SHOWなどがありました。
【参考記事:新宿の日本最大級VR施設「VR ZONE SHINJUKU」を体験!】
2016年4月「SKY CIRCUSサンシャイン60展望台」オープン
2016年4月、「天空でVR体験」をコンセプトに、東京・池袋のSKY CIRCUSサンシャイン60展望台で、VR体験が出来る様になりました。
これまでに紹介したVRコンテンツと大きく異なる点が、風や大胆な動きを取り入れた4D体験となっていることです。海抜251mの展望台での4D体験により、想像を超えるスリルや疾走感が味わえるように工夫されています。HTC Viveの特徴を活かし、複数人が同時に体験出来る様になっています。
【参考記事:池袋のVR体験施設「SKY CIRCUS サンシャイン60展望台」とは?】
2016年9月「東京ゲームショウ 2016」開催
2016年9月15日〜18日の期間、千葉・幕張メッセにて東京ゲームショウ2016が開催されました。会場には35社が参加するVRの特設ゾーンが設けられ、ハードウェア・ソフトウェア共に多数展示があり、VR元年ながら、さらなる技術的進化を感じられるイベントとなっていました。
腕に電極を貼り付け、筋電位の変化を読み取ることで手の動きを読み取るUnlimited Hand・足を乗せて操作するコントローラの3D Rudder・視線追跡機能を組み込んだヘッドマウントディスプレイのFOVEなどが展示されていました。
2016年12月「VR PARK TOKYO」オープン
ゲームセンターなどのアミューズメント施設を展開するアドアーズは、2016年12月、東京・渋谷に日本初のVRテーマパーク、VR PARK TOKYOをオープンしました。
バックパック型のPCを背負って、空飛ぶ絨毯に乗ってモンスターと戦うSalomon Carpet VR・プロレーサーの古賀琢麻氏がプロデュースする、本格的ドライビングゲームのT3R simulatorなどが楽しめます。
ここでも、大半のコンテンツがHTC Viveで構成されており、体験型コンテンツのヘッドマウントディスプレイとして不動の地位を確率しています。眼鏡をかけていても装着しやすいことも大きなポイントになっていると思います。
【参考記事:渋谷のVR体験施設「VR PARK TOKYO SHIBUYA」とは?】
スマートフォン向けVRゴーグルへの参入激化
ここまでハイエンドヘッドマウントディスプレイや、各種イベント・施設を紹介させて頂きましたが、スマートフォン向けVRゴーグルも多数発売されました。
スマートフォンは今や大半の人が所有しており、年々解像度も上がっているので、スマートフォン向けVRゴーグルを買うだけで手軽にVR体験が出来ることは大きな魅力となっています。
2014年にはすでにCardboardとハコスコが発売開始
これまで、VR元年の2016年について紹介させて頂きましたが、実は2014年にはスマートフォン向けVRのCardboardとハコスコが発売されていました。
CardboardはGoogleの製品で、ダンボールで出来たVRゴーグルです。スマートフォンをはめ込み、手軽なVR体験をサポートしていました。一方ハコスコは、2眼だけでなく子供も楽しめる1眼タイプや、ダンボールよりも耐久性の高いプラスチックタイプがありました。
ただ、当時はスマートフォンの解像度もVRで見るには不十分で、対応コンテンツも少なく、大きなブームにはなりませんでした。
【参考記事:VRビューア「Google Cardboard」の購入方法と使い方】
2015年12月「Gear VR」発売
こちらもVR元年よりも少し早い2015年12月、SamsungからOculusと共同開発したGear VRが発売されました。
SamsungのスマートフォンであるGalaxyシリーズ専用設計で(当時はS6・S6 edge専用)、本体右側面にタッチパッドを備えヘッドマウントディスプレイ装着中の操作を可能にし、Oculus storeの多様なコンテンツに対応するなど、スマートフォンでも快適なVR体験が出来ることを提案した製品でした。
【参考記事:Gear VRとは?Galaxyシリーズのスマホ対応VRゴーグル】
2016年11月「Daydream View」発売
2016年11月、アメリカをはじめとする海外5ヶ国で、GoogleからDaydream Viewが発売されました。
Daydream ViewはDaydreamというGoogleのVRプラットフォームに対応したスマートフォン用のヘッドマウントディスプレイです。その為iPhoneは非対応です。
操作用にコントローラが付属しており質の高いVR体験が可能で、さらにChromecastにより、体験中の映像をTVに映し出して皆で楽しむこともできました。日本では2017年12月に発売開始されています。
【参考記事:Daydream Viewとは?Googleのスマホ用VRゴーグル】
まとめ
いかがでしたでしょうか。2018年となった今でも先頭を走るハイエンドヘッドマウントディスプレイの発売をはじめ、多数のVRイベント・体験施設のオープン、スマートフォン向けVRの進化など、2016年はVRが広く普及し、まさにVR元年と言える年だったのではないでしょうか。
今年はVR元年から数えて3年目です。既にHTCからVive Proが登場するなど、VR業界は今年もさらなる盛り上がりを見せるでしょう。