最近、バーチャルYouTuberが爆発的に人気を伸ばしています。3DCGのかわいらしくて個性的なキャラクターが多く、その人数もどんどん増えてきています。

そこで、この記事ではバーチャルYouTuberとは何かを説明し、四天王や人気ランキング、バーチャルYouTuberのやり方・作り方などについてまとめます。

バーチャルYouTuber(VTuber)とは

バーチャルYoutuber(バーチャルユーチューバー)とは、主にYoutubeでの動画配信、その他の場所でライブ配信などを行う架空のキャラクターのことです。VTuber(ブイチューバー)とも呼ばれます。

バーチャルYouTuber(VTuber)の特徴

主にキャラクターの作成時に3DCGなどの技術を用いているため、2Dのアニメーションなどと比べると奥行きもあり、実際に現実世界でキャラクターが動いているようにも感じられる特徴があります。

そのため実際に人間が行っているYoutuberと比較すると、撮影方法も非常に多様で、中にはVR技術を駆使して実在する人の動きをキャラクターの動きを反映させることで撮影されているものもあります。

バーチャルYouTuberの始まり

バーチャルYoutuberの始まりは、後ほど詳述するバーチャルYoutuber界の第一人者的キャラクター「キズナアイ」が2016年12月1日に初の動画を投稿したのがスタートだと一般的には考えられています。

キズナアイ/出典:Kizuna AI(official)

それから約11か月後の2017年11月8日に「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん(ねこます)」という非常に個性的なキャラクターが動画投稿し、それがブログに紹介されたことでバーチャルYoutuberが一気に注目を集めました。その後、2017年末ごろから多くのキャラクターが乱立するバーチャルYoutuberブームが2018年5月現在まで続いています。

バーチャルYouTuberブームの現在

このブームは非常に大きくなっており、多くの新キャラクターが誕生しているだけでなく、NHKの番組の中で特集コーナーが組まれるほどです。2018年4月23日に放送されたこの番組内では「キズナアイ」のほか、「ときのそら」というキャラクターの運営会社である「カバー株式会社」のCEO谷郷元昭氏が出演しました。バーチャルYoutuberの作成方法や収益方法などについて約4分半の特集が放送されました。

今後の盛り上がりを予想してバーチャルYoutuberの製作に力を入れている企業も増え始めています。さらに勢いを増していくであろうバーチャルYoutuberについてこの記事では実際のキャラクターを例に挙げながら解説していきます。

バーチャルYouTuber四天王

バーチャルYoutuberには四天王と呼ばれるキャラクターがいます。四天王といいながら5人のキャラクターが存在するのですが、バーチャルYoutuberの草分け的存在である「キズナアイ」は別格として扱い、その他の4キャラクターのことを主に四天王と呼ぶことが多いようです。

それでは四天王と呼ばれるキャラクターを実際に見ていきましょう。

キズナアイ

バーチャルYoutuberの代表的キャラクターで、YouTubeでのチャンネル登録者数は2018年5月現在178万人を超えています。生まれたての双葉をイメージさせるハート型のカチューシャや、少しピンクがかった髪色が特徴的なキャラクターで、衣装はセーラー服にショートパンツという活発さを印象付けるファッションになっています。

初のバーチャルYoutuberということで、動画投稿歴の長さや配信動画の再生回数といった実績面では他のバーチャルYoutuberに比べて頭一つ抜けている印象です。

動画の内容は雑談動画からゲーム実況、踊ってみた動画、カラオケ動画など多岐にわたっており、YouTubeだけでなくニコニコ動画でアーカイブ配信もしています。

さらに自身の動画投稿だけでなく企業や日本政府観光局のPR動画などの仕事も行っており、まさに第一人者として多方面で活躍しています。

輝夜月(かぐや るな)

2017年の12月から動画投稿を開始したバーチャルYoutuberで、銀髪碧眼、ミニ丈のワンピース、カラータイツがトレードマークの美少女キャラクターです。

動画内での異常なテンションの高さと特徴的な声色から、ファンの間では「首絞めハム太郎」「見るストロングゼロ」「コカインちゃん」などと美人な外見からはおよそ想像もつかない愛称で呼ばれ、親しまれています。その類を見ない中毒性の高さを背景に、動画投稿開始直後から一気に再生数とチャンネル登録者数が伸び、一日で最も登録されたチャンネルとして記録されたこともあります。

他のバーチャルYoutuber達をネタにすることも多く、親しみを込めた愛称で呼び、声真似をする動画なども挙げています。特に大先輩である「キズナアイ」を「親分」と呼び慕っており、キズナアイ自身も動画内でかわいい後輩であると公言するなど大変親交が深いです。

テンションの高さや煽りスキルの高さを特徴としており、他のバーチャルYoutuberと比べて異彩を放っているともいえるキャラクターです。

ミライアカリ

金髪サイドテールと蝶をモチーフにした青いリボンがチャームポイントの美少女キャラクターです。公式のイラストレーターはあの「初音ミク」をデザインしたKEI氏です。非常に手の込んだキャラクター製作が特徴の一つで、豊かな表情から指のモーションに至る細部までしっかりと作りこまれています。

その名の通り非常に明るい性格で、視聴者に元気をもたらしてくれるキャラクターとして人気が高いです。いわゆる「コミュ力」が高く、VRChatで英語を使って外国人と積極的に話しかけているシーンも見られるほか、動画内では下ネタを自ら発言していくことも多いです。本人は趣味を「エゴサーチ」であると公言しており、自身を「エゴサーの姫」と呼んでいます。

特筆すべきエピソードは2つあり、一つ目は2017年12月25日に行ったライブ配信中に「ミライアカリ生放送」タグがTwitterのトレンド1位を獲得したことです。2つ目のエピソードは2017年12月31日から2018年1月1日にかけて行った2時間のライブ配信では国内外の多くのファンから「投げ銭」が行われ、その総額が約180万円にも達したことです。この2つは「ミライアカリ」の人気の高さを象徴する出来事といえます。

電脳少女YouTuberシロ

2017年8月12日と、バーチャルYoutuberとしては比較的早期に動画投稿を開始したキャラクターです。その名の通り、白っぽいノースリーブのシャツを着ている姿が通常の衣装ですが、冬季にはコートを着たり、春季にはドレスを着たりと衣装チェンジもよく行っています。

アイドルとなって武道館でライブを行うことを目標にしているキャラクターです。しかし、最初期には踊ってみた動画が少し投稿されている程度で、本格的な歌ってみた動画などは投稿されていません。むしろゲーム実況動画などがメインの動画となっており、あまり設定が生かされている動画が多くないことも特徴の一つといえるかもしれません。

普段は甘い声色の「清楚」系キャラです。その一方で、殺戮系ゲーム中にテンションが上がり、「イルカ」の啼き声のような引き笑い声で大笑いしたり、敵を皆殺しにして狂喜したりする様子も多く見られますが、それらもすべて「清楚」の一部であるとファンの間で認められ、バーチャルYoutuber界での「清楚」という言葉に新たな意味合いを加えたキャラクターとしても名を馳せました。またその笑い方から「シロイルカ」とも呼ばれています。

バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん(ねこます)

現在のバーチャルYoutuberブームの立役者となった重要キャラクターです。その名前を一見しただけでは非常に多くの属性が組み込まれているため、特徴がよくわからないキャラクターですが、主成分は「おじさん」です。

以前はコンビニバイトをしていた「けもみみ」好きなおじさんがアバターや動きを全て自分で作成し、バーチャルYoutuberとしてデビューした姿が「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」です。

すべてを自分で行っていたため女性声まで用意することができず、仕方なく自分の声をそのまま当てた結果、美少女キャラクターでありながらおじさんの声を発する複雑怪奇なキャラクターが誕生しました。しかし、そのギャップが大受けし、バーチャルYoutuberブームを牽引するキャラクターにまで上り詰めました。

おじさん要素も非常に大きいですが、キャラクターのアバターについても自作であるが故に完全な無表情になってしまっていたり、おにぎりが突然脇から出てきたりする愛すべき「至らなさ」を見ることができるのも魅力の一つであるといえます。

現在はファンの作曲家から楽曲提供をうけ、動画のエンディングに使ったり、オリジナルソング「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさんのうた」を投稿したりするなど、芸風を広げ始めています。

四天王以外のバーチャルYouTuber人気ランキング

続いてはバーチャルYoutuber四天王以外の人気キャラクターを4人紹介していきます。四天王に比べると後発組のキャラクターが多いですが、それぞれ特徴的なキャラクター設定がされており、四天王にも劣らない強烈なキャラのバーチャルYoutuber達がたくさん存在しています。

ばあちゃる

スーツを着た馬面の人間という非常に特徴的な外見をした、自称世界初の男性バーチャルYoutuberです。電脳少女シロと同じく「株式会社アップランド」が運営するバーチャルYoutuberプロダクションに所属しています。シロはこのプロダクションの看板キャラクターであるため、ばあちゃるのネクタイをアップで見るとシロの顔がプリントされています。

特に四天王のメンバーからは、いじる対象として捉えられているようで、輝夜月はTwitter上で「馬刺し食べたい」と発言したり、イベント会場で「電脳少女シロの使い魔」と紹介されたときにはシロに「使い魔にも満たない男」といじられたりしています。

月ノ美兎

月ノ美兎は「いちから株式会社」が提供しているアプリ「にじさんじ」の公式キャラクターです。

黒髪ロングの清楚な委員長キャラクターで、動画の冒頭に必ず「起立、気をつけ!」と語り掛け視聴者を立たせた後、最後まで視聴者を着席させずに進行する斬新なスタイルが特徴です。

見た目通り真面目で清楚なキャラクターで動画配信を行うのかと思われていましたが、第1回の雑談配信で「ムカデ人間(エログロで有名な映画)を見たことがある?」という質問に対し、嬉々として内容を語りだしたことを皮切りに、小さいころ道端の雑草を食べていた際もみじが一番まずかった話や、配信は自宅の洗濯機の上のMacBookで行っており、配信中は常に中腰である話などを動画内で次々と話題にし、清楚さの欠片も感じさせないキャラクターを自らさらけだしていきました。

現在もその独特なキャラクターを武器に動画投稿を続け、チャンネル登録者数は18万人を突破しています。

猫宮ひなた

猫宮ひなたは脱力系・ボクっ娘口調が特徴のバーチャルYoutuberで、その名の通り猫をモチーフにしたキャラクターです。服装は胸元のゆるい大きめのシャツという、脱力系のキャラクターからブレない格好をしており、頭に生えている猫耳は本人曰く「寝癖」だそうです。

投稿動画はその実力を生かしたゲーム実況が多く、FPS、TPS系のゲームにおいてトップゲーマークラスのプレイングをしたことで大変話題となりました。ゲーム実況が主な投稿動画でしたが、最近はゲーム実況以外の動画も投稿し始めており、芸風に幅が出るのを期待しているファンの声も大きいようです。

また、2018年4月9日にはミライアカリらとともにバーチャルYoutuber事務所「ENTUM(エンタム)」に所属したことを公式に発表しました。

東雲めぐ

東雲めぐは2018年3月1日から活動を開始したバーチャルYoutuberです。より正確に言うとSHOWROOMの機能を生放送に取り入れた「バーチャルSHOWROOMER」です。

金髪と青い目、「たくあん」と呼ばれる黄色い眉毛が特徴のキャラクターで、配信当初は中学3年生の設定でしたが、2018年4月に高校へ進学し、現在は高校1年生として動画配信を行っています。

先述した通りSHOWROOMの機能を生かした動画配信を行っているため、生放送中に応援、投げ銭が映像として視覚的に現れ、東雲めぐがそれに触れたり、コメントしたりといった他の配信者には見られない技術を多く盛り込んだバーチャルYoutuberとなっています。

動画投稿開始からまだ日も浅く、他の配信者に比べて動画再生数もそこまで多くはないですが、最新技術を遺憾なく詰め込んだ配信を行っており、これから話題になっていくのではないかと思われます。

バーチャルYouTuberのやり方・作り方

本記事の最後にバーチャルYoutuberのやり方、動画の作り方を大まかに説明したいと思います。この記事を読む前に前提として覚えておいていただきたいことは、バーチャルYoutuberは現状、一人で行うにはかなり敷居が高いコンテンツであるということです。

記事の中で紹介した「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」などは基本的には一人で動画作成を行っていましたが、もともと本人に技術があり、かつVR機材もそろっていたため、それが可能であっただけです。

多くのバーチャルYoutuberは企業などで複数名が関わるプロジェクトとして運営されています。技術的に素人の方はプロに3Dモデルの作成など多くの部分を委託せざるをえず、機材もそろえようとすると人件費を含めて数百万円の費用が掛かることはほぼ確実です。 さらに費用だけでなく、モデル作成や動画撮影環境の構築には数か月単位の時間がかかります。最低でもその程度の初期投資が必要であることを理解したうえでこの後の記事を読んでいただきたいと思います。

まずはバーチャルYoutuberとしての動画作成に必要なものを確認していきます。現在は3Dモデルに人間の動きを反映させるという手法が主な動画作成方法ですので、必要なものは大きく分けると次の4つとなります。

  1. 3Dモーションキャプチャー:動画内のキャラクターに人間の動きを反映させる技術です。データ取り込みの際にはNeuronやKinectというツールを主に使用することになるでしょう。
  2. フェイスモーションキャプチャー:顔や頭の動きをカメラで取り込み、表情をキャラクターに反映させる仕組みです。主に使用されるソフトはFacePlusやFaceRigというソフトです。
  3. 3Dモデルデータ:人間の動きを反映させるキャラクターのデータです。VR、ARの分野で使われているデータで、バーチャルYoutuberだけでなく、VRChatなどのVRコンテンツでもよく利用されています。
  4. Unity:3Dモデルデータに動きをつける際に必要なプログラミング言語です。VRコンテンツ作成の際にはもはやおなじみと言っても良いものです。

動画作成の流れは、2Dイラストを元に3Dモデルを作成し、Unityにモデルを取り込み、そのモデルをモーションで動かすシステム開発を行い、撮影環境の構築を行う、というものです。その他に、動画内容によってはBGMやSEなどの音も用意しておく必要があります。

以上が大まかなバーチャルYoutuber動画作成の内容になります。通常の動画作成に比べて費用も時間もかなり多く必要となるので、本気でやりたい方以外はまだまだ手を出せない現状が続くと思われます。

まとめ

本記事では話題のバーチャルYoutuberについて説明しました。とても特徴的なキャラクターばかりで、非常に面白い動画が多いです。なぜなら多くの人の技術と時間が詰まったものであるからで、素人がバーチャルYoutuberを目指すのは敷居が高いといわざるを得ません。これから技術的ハードルが下がり、多くの人がバーチャルYoutuberとして動画配信できる時代になることを楽しみに待ちましょう。

投稿者 vradmin