VRの楽しみ方には、どんな種類があるのでしょうか?
「VR元年」と言われた2016年以降、動画・ゲーム・アプリ・体験アトラクションといった、様々なVRコンテンツがリリースされました。それらを楽しむためのVRゴーグルやヘッドセットも多数発売されています。急に増えすぎて、理解が追いつかないという人も多いのではないかと思います。
そこで、この記事ではVRを楽しむことができるコンテンツの種類をご説明し、おすすめのゲーム・ゴーグル・動画アプリをご紹介します。
VRエンターテイメントの種類
VRを利用したエンターテイメントは、ゲーム・動画・アプリなどで多様なコンテンツが提供されています。それ以外にも、専用の施設でVRを応用したゲーム・アトラクションをよりリアルに楽しむことのできるVR体験施設も、都市部を中心に増えています。
ここでは、ゲーム、動画、アプリ、アトラクションについて、代表的なものを紹介していきます。
(1)VRゲーム(デバイス)
VRゲームは、PlayStation4などのゲーム機、パソコン、スマートフォンで楽しむことができます。
ゲーム機は専用デバイスなので、高品質なグラフィックスやサウンドが体験できます。
ゲーム専用のVR機器はは、ソニーのPlayStation4専用のヘッドセット「PlayStation VR(PSVR)」が最も有名です。PlayStation VRを装着することで、よりリアルで没入感の高い本格的なVRゲームを楽しむことができます。
VRゲーム機ではソニーが一歩進んでいますが、2018年以降、PlayStationだけでなくXBOXでもVR対応が進むことが期待されています。任天堂は、最新機種であるSwitchについてのVR対応に関する動きは明らかにしていません。
パソコンでVRゲームを楽しむためには最低動作要件が示されていますが、十分に楽しむためには高性能なCPU、GPUカードが望まれます。デスクトップだけでなく、ノートPCにもグラフィック機能を強化したゲーミングPCが発売されています。
スマートフォンでもVRゲームを楽しむことはできます。デバイスの性能面から、スケール感やリアリティという点ではゲーム機やパソコンと比較すると劣りますが、その分動作は軽く、VRを手軽に楽しむには適しています。
さらにスマートフォンの性能向上にともない、あとで述べるモンスター・ハンターシリーズの派生ゲームなどの大型タイトルも開発されており、ゴーグルも高性能なものが多くなっています。スマートフォンも本格的なVRゲームを楽しめるデバイスになりつつあると言えるでしょう。
(2)VR動画
VR動画は通信速度の高速化もあり、ネットワークを通じての提供が主流です。ストリーミングで視聴したり、ダウンロードしたりして楽しむことのできる動画提供サービスが普及しています。ただ、VR動画とはいいながら、360°動画をベースにVR化したものが多く、本格的なVR動画の提供数は多くないのが現状のようです。
VR動画サービスとして、最も身近なものはYoutubeです。パソコンやスマートフォンにアプリを搭載しVRゴーグルを利用して楽しむことができます。スマートフォンでは画面にゴーグルアイコンが表示され、それを選択することでVR動画が視聴できます。
また、YoutubeはVR動画を集めたバーチャルリアリティ・チャンネルも立ち上げています。
【参考記事:VR動画をYouTubeで見るには?見方とおすすめ動画20選】
その他には、360チャンネル、With-in VR、Netflix、hulu、PANOPLAZA LIVE、KamisekiといったVR動画サービスがあります。
(3)VRアプリ
スマートフォンでは、気軽にVR体験を楽しめるVRアプリが多数出ています。動画やゲームだけでなく、持ち運びしやすく位置情報が使える特性を生かしたアプリもたくさんあります。ここではいくつかのアプリをご紹介します。
プラネタリウムVR
スマートフォンのセンサとGPS機能を利用してデバイスを向けた方向の夜空にある星座をVR空間に写しだすことができます。映し出せる星座の数は3000以上となっています。
アビスリウム – タップで育つ水族館
画面上の岩をタップして、サンゴ礁を創り、生命力を創出、それを利用してアクアリウムを育成していきます。育成が進んでいくと、スマートフォンの中に、魚や様々な生命が活動するバーチャルな水族館が出来てきます
Google Arts & Culture VR
世界中の美術館や博物館から集めた芸術作品をバーチャル ギャラリーで鑑賞できます。細部を拡大したり、引いてみたり、様々な角度で見たりすることができます。
VR Roller Coaster
ローラーコースターのスリルが体感できるアプリです。スピード、頂点からの急降下では実際に落ちているかのような感覚を味わうことができます。
【参考記事:VRゴーグルを楽しみつくす!おすすめアプリ15選】
(4)VR体験アトラクション施設
VRを体験できるアトラクションスペースやテーマパークも増えています。いずれもVRゴーグルだけでなく、体に衝撃や振動、重力、遠心力を感じさせるためのシステムを装着したり、ゲーム内で使用するための銃や剣といった様々な武器を持ったりすることで、よりリアルにゲームを楽しむことができます。また、家庭ではできないような専用の設備により、高いビルから突き出した板を歩くといったスリルをバーチャルに体感できるようになっています。
VRアトラクション施設は、現在は東京・大阪などの都市部が中心ですが、今後は拡大していくことが期待されます。主なVRアトラクション施設は、新宿の「VR ZONE SHINJUKU」、渋谷・池袋にある「VR PRAK TOKYO」、セガがクラブセガ秋葉原新館で運営する「SEGA VR AREA AKIHABARA」、カプコンが千葉県のイオン津田沼内で運営する「カプコンVR」、大型アミューズメント施設である東京ジョイポリスの「Zero Latency VR」などがあります。
【参考記事:東京のVR体験アトラクションおすすめ11施設】
おすすめのVRゲーム7選
VRゲームは、SONYのPlaystation VR向けのゲームのほか、パソコンやスマートフォン向けにもすでに数多くのゲームが発表されています。ここではその中からおすすめのゲームを7つご紹介します。
(1)THE PLAYROOM VR
PlayStation VR向けに新開発されたゲームで、VRヘッドセットを装着して見る画面と、テレビモニタに映し出される画面が異なる「ソーシャルスクリーン」システムを採用しており、同システムを利用した様々なゲーム、コンテンツがまとめられたパーティーソフトです。
ヘッドセットを装着したプレーヤーだけでなく、周りの人もテレビの画面を見ながら一緒に楽しめるようになっています。協力プレイが可能なものもあります。オンライン配信版は無料です。
(2)バイオハザード7 レジデントイービル
大ヒットゲームである「バイオハザード」シリーズのPlaystation VR版。VR化することで、同シリーズの最大の魅力である”恐怖感”が大幅に高まっています。360度から襲われるかも知れない恐ろしさと危機を突破した時の爽快感はこれまでにないものです。価格はパッケージ版が7990円+税、ダウンロード版は7990円(税込)です。
(3)Raw Data
RawDataは、パソコン向けの代表的なVRアクションゲームで、ゲーム販売サイトであるSteamの全世界売上1位を獲得したこともあります。両手に銃や剣を持ち、敵を倒します。マルチプレーヤーに対応しており、ほかのプレーヤーとの協力プレイが可能です。また、オンライン対戦機能も組み込まれ、世界中のプレーヤーと戦うことができます。
対応しているヘッドセット/HMDは、HTC Vive、Oculus Riftです。価格は3980円です(英語版のみ)。
(4)Arizona Sunshine
パソコン向けゾンビVRゲームの代表作で、売上高も上位をキープしています。日本語版も提供されています。ゾンビのグロテスクさだけでなく恐怖演出も定評があり、”最も怖い”ゲームの一つといえます。実際に体を動かして武器を操作する上、使える弾薬が制限されるなど、難易度は比較的高く、上級者向けのゲームと言えます。マルチプレイ、オンラインでの協力プレイも実装されているため、中々クリアできないプレイヤーはフレンドとともにプレイしましょう。
HTC Vive、Oculus Rift、Windows Mixed Realityに対応しています。価格は3980円。
(5)Job Simulator
パソコン向けに開発された、仕事をモチーフにした異色のVRシミュレーションゲームです。日本語対応はしていませんが、それでも十分に楽しめます。多くの受賞歴を持つ、革新的なゲームです。
2050年を舞台に、プレイヤーはオフィス、キッチン、コンビニ、ガレージでそれぞれの場所で仕事をこなしていくうちに、すぐに時間が経ってしまいます。既定の時間を超えてしまうと、ハードな残業が体験できるようになっています。その感覚はだれもが味わっているようでもあり、はじめてのようでもあるという不思議な感覚にしてくれるゲームです。
HTC Vive、Oculus Rift、Windows Mixed Realityに対応。価格は2050円です。
(6)モンスターハンター・エクスプロ
スマートフォンでプレイできるモンスターハンター(MH)・シリーズのスピンオフ・ゲームです。MHに宝探しの要素を加えています。全部で14種類の武器が使え、最大4人同時に協力プレイができます。MHの世界をスマートフォンで楽しめることから、すでに700万ダウンロードを突破しています。Android/iPhoneに対応しています。
(7)改・恐怖!廃病院からの脱出:無影灯
VRゲームの定番であるホラーゲームのひとつ。スマートフォンで楽しめます。タイトルのとおり、恐ろしい病院から脱出するゲームです。VRならではホラー演出が楽しめます。注視で操作できるように作られているのでタップ機能のないVRゴーグルでもプレイできます。Android/iPhoneに対応しています。無料。
おすすめのVRゴーグル/ヘッドセット9選
VRゴーグルやVRヘッドセット・ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、スマートフォンをデバイスとして利用するゴーグルタイプ、ゲーム機やゲーム用パソコンで使用する高性能なヘッドセットタイプ、さらにデバイスを用いずとも単体でVRを楽しめるようになっているものまで、性能、価格など様々な種類が発売されています。ゴーグルタイプには、紙製の低価格・簡易タイプとプラスチックなどを使用した普及製品があります。
ここでは、タイプ、性能、価格別に代表的な製品を紹介していきます。
(1)ハコスコ製ゴーグル
Google Cardboard規格に対応した紙製の低価格ゴーグルの代表的な製品。写真でわかるように、スマートフォンを装着し、本体の2つのレンズを通して、スマートフォンの画面を見る構造となっています。Android、iPhoneに対応しています。紙製2眼タイプは、160x80x10mmサイズまでのスマートフォンに対応、価格は1200円(税別、同社提示価格)。
(2) Linkcool Google Cardboard
Google Cardboard規格対応の紙製ゴーグル。Amazonや楽天市場などから購入できます。写真のモデルはCardboard初期型互換で3.5~5インチ以内のスマートフォンに対応しています。価格は980円(Amazon価格)
(3)Google Daydream View
Googleのスマートフォン向け第2世代ゴーグルです。2017年後半には新モデルも発表されています。紙製のCardboardと比較すると質感が大幅に向上しています。新モデルの特徴は、高解像度のディスプレイで極めて緻密なグラフィックを実現し、視野角を100度にまで拡大しています。高性能のセンサーも搭載しています。
大型化、重量化が進むスマートフォンを支えられるように頭部で支持するための縦ストラップを加えています。6インチ以上の大型パネルのスマートフォンにも対応可能ですが、Google Daydreamに対応している必要があります。
また、コントローラが付属しており、スマートフォンに触ることなく操作できます。高性能化に伴い、価格は1万2000円で、Cardboard対応を含む他製品と比較して相当に高いものとなっています。
(4)カールツァイスVR ONE Plus
VR ONE PlusはGoogle Daydream Viewと同価格帯(定価1万5800円)のVRゴーグル。高級感のあるしっかりした構造となっています。
カメラ用高級レンズで知られるカールツァイス製品であり、同社製レンズを搭載していることから高価格となっています。視野角は100度、瞳孔間距離は53~77mmとなっています。大口径高性能レンズを使用することで、ピント合わせ不要でメガネでも裸眼でも使用できます。
Android、iPhoneに対応、スマートフォンはパネルサイズ4~5.5インチと少し小さいものであり、今後のモデルチェンジが期待されています。
(5)サンワダイレクト 3DVRゴーグル「400-MEDIVR2」
普及帯である数千円クラスのCardboard対応のスマートフォン向けVRゴーグルの一つ。Cardboard対応で、4~6インチサイズのスマホに対応なので、比較的小さなサイズのスマホでも利用できます。また、レンズ位置が調節可能なダイヤルを搭載さらに、メガネをかけたまま使うことができるようになっている。価格は3000円程度。イヤホン付きは5000円(同)程度となります。
(6)VOX gear+ 3DVR ゴーグル 3Dメガネ HMD
この製品は2000円前後というスマートフォン用プラスチック製VRゴーグルとしては最も安い価格帯で、そのコストパフォーマンスが評価されています。4~6.5インチのスマートフォン(Android/iPhone)に適していて、焦点距離の調整ができ、近視の人でも裸眼で使用できるようになっています。
なお、Samsung Electronicsからは自社のGalaxy専用製品として「Glaxy Gear VR」が発売されています。
(7)Playstation VR
Playstation VRシステムはPlaystation用のVR HMDです。価格は4万8000~5万円。2017年には新モデルが発表されていますが、TVとの配線接続の簡略化、ヘッドホン端子の位置など使い勝手を改善したもので、HMDとしての性能は先モデルから大きな変化はありません。価格は先モデルから定価ベースで5000円引き下げています。
高性能なディスプレイ(有機LED/5.7インチ/1920×1080×RGB、視野角約100度)を搭載、ゲーム機としてだけでなく、最大226インチ相当の大サイズで映画が楽しめる「シネマティックモード」に対応しています。プロセサユニットを外付けとし、HMDとしての小型化と表示性能の向上を図っています。
(8)Oculus Rift(HMD)
VR対応の高性能HMD。専用ソフトをインストールしたパソコンと接続して使用します。広視野角、頭の動きに表示が追従するヘッドトラッキング機能により、リアルなVR体験を実現します。重量は440gという軽量化を実現しています。価格はコントローラとのセットで5万円。
また、Riftには標準コントローラであるOculus Touchが付属しています。左右にそれぞれ片手用のコントローラを握って使用する構造で、VR内でモノをつかんだり握ったりした時の感触を通常の形のコントローラよりもリアルに感じられるようになっています。
さらにOculusセンサー(1個はHMDと同梱、touchとの標準セットでは2個)と組み合わせることで、腕を振ったり、しゃがんだり、歩いたり、方向を変えたりといったプレーヤーの実際の動作がVR空間に反映されます。これによりVR空間をよりリアルに動きまわることができます。
なお、Oculusでは2017年10月に新しいVR HMDとしてOculus GOを発表しています。Oculus Goは、HMDのなかにプロセサ、メモリ、ストレージなどを搭載しており、スマートフォンやパソコンなどのデバイスを使うことなく独立してVRのコンテンツを楽しめるようにしたものです。価格は2万円程度となる見通しです。
【参考記事:Oculus RiftはVRブームの火付け役となったHMD】
(9)HTC Vive
HTC ViveはOculus Riftなどと異なり、当初からVR空間を動き回ることのできる”ルームスケール”を目指して開発されたものです。同システムは、MEMSジャイロスコープや加速度計、レーザーポジションセンサーなど70以上のセンサを装備、セットで提供される2つのベースステーションにより、最小1.5m×2m、最大3m×4mトラッキングスペースは最小1.5m×2m、最大3m×4mに対応します。
ただし、カメラやセンサなど搭載部品数が多いことから、重量は660gとOculus Riftよりも重くなっています。価格は8万4000円程度。
なお、HTCもCES2018で新しいVRHMDシステムとしてVive Proを発表しました。新製品ではディスプレイに、有機LEDパネルを採用、解像度も2880×1600(1440×1600を2枚)に高めています。ベースステーションを4つ使うことで最大10m×10mという大きなスペースを利用して、VRを楽しむことができるようになっています。
まとめ
VRを利用したエンターテイメントとしては、動画、ゲームから体感アトラクションままで、多様なものが提供されるようになっています。動画、ゲームの種類もスマートフォンで手軽に楽しめるものから、ゲーム機、パソコンにより高いリアリティ、没入感がえられるものまで、さまざまなものが入手できるようになっています。ゴーグル/HMDでも簡易的なものから本格的なものまでバラエティに富んだ製品が提供されています。
このように、時間や場所、予算などユーザーの希望に合わせて、さまざまなVRを楽しむことができるようになっています。