HoloLens(ホロレンズ)とは、Microsoftが開発したヘッドマウントディスプレイ型のMR(複合現実)デバイスです。MRデバイスの先駆的な製品で、医療や作業現場などでのビジネス活用も進んでいます。
この記事では、ホロレンズの特徴やアプリ、価格や購入方法などについて説明します。
Microsoft HoloLensとは?
Microsoft HoloLensは、PCのOSシェアNo.1のWindowsを手がけるMicrosoftが、2016年に開発者向けに発売を開始した、Mixed Reality(複合現実)を体現するヘッドセットです。
光学シースルーと呼ばれる透過型ホログラムディスプレイを用いることで、現実世界の上にデータ(ホログラム)を表示させることができます。さらに、4つの環境観察カメラ・1つの深度カメラを備え、インサイドアウト方式の位置トラッキングを可能にしており、現実世界のまさにそこにあるかのようにデータを表示させることができます。
また、ジェスチャーによるインタラクティブな操作を可能にしており、現実世界(リアル)とデータ(バーチャル)がシームレスに繋がるこの体験を、MicrosoftはMixed Reality(MR)と呼び、VRやARデバイスとは明確に違うことを示しています。視野角が水平30度と狭く(例としてHTC Viveは水平110度)、視野の中心にしか映像を表示できませんが、その分、画素密度が高く高精細の映像を表示することができます。
HoloLensは、スタンドアロンであることも大きな特徴です。Windows10搭載PCを内蔵することで、ワイヤレスで快適な体験を、それ1台で実現しています。
ホロレンズを楽しみつくすHoloLensアプリ
HoloLensを活用するには、HoloLensに対応したアプリをインストールすることが不可欠です。非常にたくさんのアプリが既に開発・公開されており、そのほとんどをWindows Storeからダウンロードすることができます。ここでは、Microsoftが公開している2つのメジャーなアプリを紹介します。
1つ目は、Microsoft Layoutです。無料ながらも現実空間を認識し、インポートした3Dデータを、現実空間上に実寸大で配置出来るアプリです。家庭での家具配置シミュレーションはもちろん、工場での設備レイアウト検討等、幅広い活用が期待されます。
2つ目は、Microsoftリモートアシストです。こちらも無料ですが、革新的なコミュニケーションができるアプリとなっています。まず、このアプリでは音声・ビデオ通話をサポートします。ビデオ通話では、同時起動しているアプリで見ているもの=Mixed Realityの映像を共有することができ、ヘッドセットを付けながらにして遠隔地にいる人とコミュニケーションができます。会話中にアノテーション(メモ書き)を追加することもでき、非常に強力なコミュニケーションツールとして活用が期待されます。
HoloLensのビジネス活用事例
HoloLensのビジネス活用で大きな柱となっているのが、建設・製造・医療・教育の4分野であり、今回は製造・医療の2分野での活用事例をご紹介します。
製造の分野では、開発プロセスの様々なステージで活用が始まっています。まず企画段階では、実物がまだ無いので旧型製品に新型のデータを重ね合わせて、デザインの確認をするなどの活用がなされています。次の設計段階では、成立性・作業性の確認など様々な用途で活用されています。そして、実際に生産する工場では、設備レイアウトの検討などがHoloLensを用いて実施されています。
一方、医療の分野では、主に医師自身がHoloLensを使用するケースと、患者が使用するケースに分けられます。医師が使用する主な目的には、手術前の患者の状態を正確に把握する為、患者のスキャンデータを確認して手術のシミュレーションを行ったり、日頃のトレーニングをしたりすることなどが挙げられます。患者に対しては、手術前の説明や、術後の経過をよりわかり易く伝えることなどに活用されています。
HoloLensの価格と購入方法
HoloLensは現在、個人開発者向けに333,800円でMicrosoftのオンラインストアより購入することができます。また、企業や教育機関での利用に関しては、1年間の製品保証や、企業専用のアプリ配信ストア・デバイス管理・セキュリティ・機能制限などの機能が利用できる、Commercial Suiteというグレードで購入することも可能です。こちらは555,800円と高額ですが、複数台の本格導入をする場合にはこちらが良いでしょう。
まとめ
今回はMicrosoft HoloLensについて紹介させて頂きましたが、いかがでしょうか。
発売から2年以上経った今、魅力的なハードウェア構成と、様々な分野での活用が進んだことで、Mixed Realityデバイスとして不動の地位を確立しました。アプリ開発者にとっても、対応デバイスをただ一つに絞るというのは非常に開発がし易く、今後もHoloLens向けのアプリ開発が進むことが予想され、益々その地位を確固たるものにしていくことでしょう。